「転職すべきか」の迷いが、
「何を優先するか」に変わるまで。
IT企業・M&A専門職・30代女性
Before — ご相談時
実績は出せている。M&A業務を実質ひとりで回し、次の昇進も視野に入る。それでも「やりたいことができていない」という手応えのなさが残っていました。入社して1年半、転職を考えるには早い気もする——動くべきか、留まるべきか。その問いを抱えてセッションに臨まれました。
事前アンケートに書かれていたのは、「向こう10年のキャリア展望と、そこへ登るためのアクションリストがほしい」という言葉。転職の是非という目の前の迷いの奥に、もっと長い時間軸の問いがあることを、ご本人も感じ取っていました。
Session — 対話の実際
「転職すべきか」をいきなり考えても、答えは出ません。そこで、望む働き方の輪郭を先に描くことにしました。
コーチ:仕事をしていて、一番楽しいのはどんな瞬間ですか?
ご本人:ビジネスにインパクトを残せたときですね。前職では、M&Aで会社の流れそのものを変えられた実感があった。
コーチ:いまの仕事で、その手応えが薄いのはなぜでしょう?
ご本人:案件が小さくて……。本当は、入口から統合まで一気通貫でやりたいんです。工程が分断されると、面白さが半分になる。
行き詰まりの正体は"M&Aそのもの"ではなく、案件が小型で、しかもプロセスが分断されていること——ここが言葉になった瞬間、霧が晴れ始めました。さらに、もう一つの思い込みも解けていきます。
コーチ:事業そのものを、自分で動かしたいということですか?
ご本人:いえ、そこはあまり興味がなくて。事業を回したいわけじゃない。M&Aという手段で、経営にインパクトを与えたいんです。
望む仕事の輪郭がくっきりすると、選択肢も見えてきました。現職で昇進して裁量を広げる道と、外部でより広い役割を得る道。そして最後に残ったのが、いちばん本質的な論点でした。
案件の質、年収、働き方の余裕。そのすべてを同時に満たす場所は、たぶん存在しない。何を一番に置くか——。
セッション終盤に置いた、視点を変える問いすべては同時に得られない。だからこそ、優先順位を決める必要がある。問いの重心が、「どこに行くか」から「何を大切にするか」へと移りました。
After — 決まった行動計画
- 短期:現職の次の昇進に挑む。役職名だけでなく、その昇進が「大型・一気通貫の案件」に近づくものかを、上司とすり合わせながら見極める
- 並行:外部機会へのアンテナは高く保つ。声のかかったヘッドハンターに、まず会って話を聞く
- 基準:良い機会を見分ける自分の優先順位(案件の規模と一貫性/年収の下限/私生活の余裕)を言語化し、判断の軸にする
「転職すべきか」という他者に開いた問いが、「何を優先する働き方か」という自分に向いた問いへ。二択の迷いが、優先順位のついた意思決定基準に変わったセッションでした。
Voice — ご本人の感想
「完全に外にばかり目が向いていましたが、もうちょっと踏ん張ってみます。まずは半年」
IT企業・M&A専門職